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「あやかしと人は、本来交わることのない、異質な存在だ。それだけは忘れるな」
「──はい」
木蓮の忠告に、茅萱は素直に頷いた。
木蓮の言うことは正しい。
生身の身体を持たず、命の灯のみで形づくられたあやかしとでは、そもそもの成り立ちからして違う。相手の領域は侵すべからずという不文律を守って、生きていくべきなのだ。
しかし茅萱は、柊と出会ってしまった。彼を知り、側にいたいと願ってしまった。
彼への想いだけは、どう足掻いても消せないような気がした。
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