初めての相手

10/19
前へ
/161ページ
次へ
「あやかしと人は、本来交わることのない、異質な存在だ。それだけは忘れるな」 「──はい」 木蓮の忠告に、茅萱は素直に頷いた。 木蓮の言うことは正しい。 生身の身体を持たず、命の灯のみで形づくられたあやかしとでは、そもそもの成り立ちからして違う。相手の領域は侵すべからずという不文律を守って、生きていくべきなのだ。 しかし茅萱は、柊と出会ってしまった。彼を知り、側にいたいと願ってしまった。 彼への想いだけは、どう足掻いても消せないような気がした。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2060人が本棚に入れています
本棚に追加