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「急に、何して……」
「俺だって、柊の力になれると思う。俺じゃ、だめ?」
祈るような気持ちで返事を待つと、まるで茅萱の肩先に語りかけるかのように、柊は視線を合わせず口を開いた。
「だめ……じゃ、ない。好きにしろ」
昔から、そうだった。毎日会いに行って、しつこいくらい話しかけても、柊は茅萱を拒まない。鬱陶しそうに目を逸らしはするが、最後には受け入れてくれる。
自分を、先祖返りだからというのではなく、ただの「茅萱」として受け入れてくれる、稀有な存在。
「ありがとう。柊、好きだよ。大好き」
思ったことをそのまま告げ、ぎゅうっと抱き締めると。腕の中で柊が、微かに笑ったような気がした。
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