愛すべき熱

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徐々に圧が強くなり、苦しいくらいに締め付けられていく。一旦動きを止めると、彼がはあっと息を吐いた。薄い胸が、呼吸に合わせて上下する。 「……った?」 「え?」 「もう、入ったのか……?」 「いや、まだ半分くらい」 「半分……」 茅萱の言葉を反復し、柊は怯えたように眉尻を下げた。 正直なところ、柊の中に入った瞬間から、もう途中でやめてあげることなんて無理かもしれないと思っていた。 しかしこうして彼の頼りない瞳を前にしてしまうと、抱きたい気持ちより優しくしたい気持ちが上回るのが不思議だった。 「──今日は、ここまでにしよっか」 「え……」 「何も今すぐこのやり方で力を送らないといけないわけじゃないし。そのうちできるようになればいいんじゃないかな。さっき出させた分は、キスで戻すから」 柊が自分を信頼してくれている限り、いつかまた機会は巡ってくる。焦る必要はない。 「抜くよ?」 断りを入れ、温かな場所から抜け出そうとすると。 「や……っ」 引き留めるように、柊の足が腰に絡んできた。
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