一章:不敵な同盟

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一章:不敵な同盟

---Opening--- 学園生に開放されている専用の掲示板では、長らく放置されてきた第一設定世界のバグに関するリーク騒ぎも沈着を見せつつある中、あるスレッドが加速度的に注目を集めていた。 以前から最多の利用者数を維持していたそのスレッドは現在、対象設定世界が公開されたばかりの最初期にも勝る熱狂を見せている。 ――グランドクエストが進行して遂に大詰めか。 ――執行部が最終局面に移行する条件を満たした。 その日、設定世界の最前線は300名のログイン限界数を常に保ちながらエンディングを迎えた。 その幕切れは"酷くアッサリ"したものだった。より端的に表現するなら期待外れも甚だしかった。 強制的にログアウトをさせられる羽目になり今か今かと吐き出される瞬間を待ちわびる胸の燻りを抱えて肉体乖離型拡張装置≪ポッド≫を出た者達を歓迎するように、アナウンスが学園中に響き渡る。 「現時刻をもって『第四設定世界:廻星のアリス』のクリアが確認された」 それぞれの時間を過ごしていた者たちの耳にも、そのニュースが平等に知れ渡る。 「凱旋を果たした戦士の諸君はさぞやがっかりしている事だろう。予想を遥かに上回る速度で攻略されてしまったが、決して製作が間に合わなかったわけではない」 女性のアルトボイスは龍鳳院学園長のものだ。作り出した威厳溢れる低めの声は、待ちわびたと言わんばかりに生き生きとしていた。 「君達は確かに『第四設定世界』のエンディングに到達した。さて、そんな諸君に朗報だ。そして、当事者ではない諸君には吉報となるか?『第四設定世界』はまだ真の終わりを見ていない」 マイクが大きく空気を吸い込む音を拾う。その一拍で学園長は学園全体に無音を作り出した。準備は万端。静寂を破る第一声を放つ。 「ついては、来週末に実施する大掃討戦を制した者達に第四設定世界のシナリオ強化バージョンをプレイする権利を与える」 その一大ニュースは全ての生徒にもれなく届いた。学園長の思惑通りに失望が期待に転じ、無関心は関心を誘う。 「詳細なルールは追って一斉送信する。堪え性のない諸君はこれより公開する我が社のシェバンニが一晩で組み上げた特設サイトを閲覧すると良いだろう。諸君らの健闘を――いや、思う存分お祭り騒ぎを楽しんで欲しい」 一つの終わりと共に、激動の一週間が幕を開けた。 ---Start---
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