その奇妙な店は…

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 それから1週間経った。  仕事から帰ると、アパートの隣りの部屋に住んでいる佐藤のおばさんが私に声をかけてくる。 「あら、最近奥さんをみないけど、どうしたの?」 「ええ、最近暑いせいか、体調を崩してしまって」  そう、怖い目にあったからなのか。あれ以来、早織は体調を崩してしまっているのだ。  まあ、無事に帰ってきただけでもありがたいのだが。  あれから私は、早織の代わりに家事をしなくてはならず、あの冥途喫茶からは足も遠のいている。  もっとも、時折、あの冥途喫茶の前を通ることはあるが、いつも看板はしまわれたままで人の気配もないので、店をたたんでしまったのかもしれない。  そもそもあの店そのものが幻だったのではないか? 最近ではそう思うこともある。 「ああ、それで今日はお弁当なのね」  佐藤のおばさんは、合点がいったように私が手に持っているスーパーの袋に視線を落とした。 「もしかして、ゴミ捨てとかの家事もあなたがやってるの? 駄目よ、夏なんだから、生ゴミとか貯めちゃ。最近は臭いも凄いんだから」 「はい、分かりました」  私はそう言うと、ドアを開け、ただいま、と早織に声をかけた。 「おかえり」  早織は、少し元気が無いものの明るい声で返事をしてくれる。 「今日は唐揚げ弁当にしてみたよ」 「そう。お肉ばっかり食べないで、野菜も食べるのよ」  妻が優しく忠告してくれる。 「分かったよ」  私は唐揚げを口に運ぼうとした。  しかし、その瞬間、私の頭の中である光景がフラッシュバックし、私は唐揚げをもどした。  
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