3夜

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でもね……康。 目を塞がれて視界が奪われても、私が感じているのは、よく知った康の温もりと匂いなの。 だから、康の優しい笑顔も頭を過るんだよ。 ───ドクン ドクン……。 胸が痛くて。 そして、どうしようもなく熱い。 「……私のこと、好きなら」 囁いてくれた『好き』なんて私を慰めるための嘘だって知ってる。 でも、無意識に開いた唇から言葉がもれる。 「キス、して……」 私はこの言葉を、健くんに言ったの? 康に言ったの? わからない、わからないけど。 私は……。 私の目を塞ぐ康の手がピクッと反応したのがわかった。 でも、次の瞬間。 私の唇は温かい温もりで塞がれた。 視界を遮られたまま、私は康にキスされていた。 熱いその唇に、思考が溶かされていく。 ただ、真っ白な頭の中で、よく知った康の温もりと匂いだけを感じ取っていた。
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