1夜

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「おやすみ、康」 そう言ってから、ほんの少し康の唇に唇で触れる。 温もりを感じる間もない、キスとは言えない程度の、掠る程度に、ほんの少しだけ── それから私は目を閉じて。 あっという間に眠りの中に落ちていく。 さっきまであんなに眠れなかったのが嘘みたいに、ぐっすり眠れることが出来るの。 そして、朝5時までここで眠る。 その時間になると、自然と目が覚める私は、5時に康のベッドを出て部屋に戻り、6時まで自分の部屋のベッドに寝転がってジッと時計を見つめてる。 そんな毎日を過ごしてる。 誰にも気づかれないように。 康にも気づかれないように。 ドキドキと罪悪感を抱えながらも、毎日どうしてもここに来てしまう。 康を猫みたいって笑ったけど、本当に猫みたいなのは私だよね。 勝手に布団に潜り込むんだから。 いつまでも寂しがり屋の子どもみたいだよね私。
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