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そう、そうなのだ。
確かにこのめは、この幼馴染に高校での新たな部の立ち上げを提案した際に、『勧誘は俺が頑張るから!』と豪語した。
その条件があったからこそ、真っ白な「入部届」に名を書いてもらったようなものだ。
今更、無かった事には出来ない。
「諦めて、別のヤツ誘った方がいいんじゃないか?」
嘆息混じりに告げた吹夜は自身の鞄を片手で担ぎ、もう片手でこのめの学生鞄を掴むと、机の合間を縫って扉へと歩を進めた。
通りざまに消沈するこのめに鞄を押し付け、「帰るぞ」と教室から踏み出す。
「あ、待ってよ!」
慌ててこのめもその背を追う。
家が近いこの幼馴染とは、幼稚園時代からの習慣で未だに登下校を共にしている。
(……なんか啓、また背が伸びたかな)
何でも卒なくこなす文武両道の吹夜は、幼少期よりどこか大人びた雰囲気を持っていたが、それでも小学三年生まではこのめと視線が近かった。
だが気づけばぐんぐんと背が伸び、ほとんど隣にあった頭はとうの昔にこのめの上にある。
だから今更その差がどうというわけでもないのだが……。
中学を卒業し、高校に入学したこのたったの数か月で、また差が開いたような気がする。
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