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人と妖かしが共に息づく世界を舞台にした、人気漫画『あやばみ』。
山神とされる『烏天狗』と人間との子を主人公に、半妖達の葛藤や妖かし達の苦悩を描いたそれはアニメ化もされ、ついには舞台化されるまでになった。
漫画やアニメ、ゲームを原作とした舞台は『2.5次元舞台』と呼ばれており、この『あやばみ』はこのめがその『2.5次元舞台』に興味を持った、きっかけの舞台だ。
――衝撃だった。
今まで『絵』として認識していたキャラクター達が、まるで本当にその場に息づいているかのように、動き、話し、物語を紡ぎ上げる。
当然、実在する俳優が演じている為、ビジュアルは原画と瓜二つとまでは言えないが、それでも些細な表情の変化さえ『そうだった』と錯覚してしまえるほどに、舞台上では間違いなくキャラクターが『生きて』いた。
最後のカーテンコールの幕が下りる頃、このめの胸奥はチリチリと熱く灼けていた。
それは感動だけではない。決意にも似た、強い羨望を含んでいた。
演りたい。このめはそう思ったのだ。
それは戦隊ヒーローに憧れる少年のような、自身も『そう』なりたいという純粋な熱情だった。
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