4章 肉欲の晩餐

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・ 抵抗するルナの腕を開き、泣き顔のルナを覗き込むとグレイは皮肉気に嘲笑う。 「いいか、よく聞け……── お前の家はここだ…帰る場所など他にない」 威圧するように声が凄む。 ルナはそんなグレイの冷たい眼差しに涙で濡れた顔で硬直していた… 先ほどまでの微笑みが嘘のようだ。 これがこの男のホントの姿。 我もの顔で全てを押さえ付け捻り潰す。 全てが思いのままだと思ってるっ 全てっ…何もかもがっ… 自分の成すがままだとっ… 赤く腫れた目でルナはグレイをキッと睨み返した。 だが次第にその瞳からは涙が滲み、強く結んだ唇が激しく歪む。 「…………」 「…ふっ…ううっく…っ…う…うぃ…」 何もかもが辛く希望が持てない。 グレイの前でルナはまた頬を濡らした。 「……面倒くさいガキだ…」 「──!…っ…」 冷ややかなグレイの視線。冷たい言葉がルナの胸を貫く。 ショックを隠しきれず目を見開いたルナの両腕を掴んだままそう吐き捨てると、グレイはルナをグッと引き寄せ耳元に唇を寄せた。 「だが……中々飽きない…」 ──…っ クスリと笑いを含んだ吐息が耳にかかる。 顔を離して黒い瞳に見つめられ、ルナはその瞬間カッと身体中を熱くしていた。
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