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明かりのない暗い室内にうっすらとしたグレイの気配が動く。
腕を掴んでいたグレイの手がルナの頬に添えられ、グレイは伝う涙を指先で拭った。
「…あ……」
目の前で親指に付いた雫をペロっと舐める。
「人間が出す物はしょっぱい物ばかりだ…」
「え……」
「人間の体は水と塩で出来てると教授が言ったが…事実のようだな…」
…教、授?
「ふ…前に人間の女学院に紛れて居たからな…餌を狩るなら格好の場所だ…」
…女、学院……っ…女の人だらけじゃないっ
「ふ…餌だらけだ…食うには困らん」
顔をしかめたルナをクスリと笑う。
書庫の管理人をしていたグレイにとって、静かな空間もそして、自らやって来る餌を食う場所としても申し分ない。
グレイの淫らな飽食生活が嫌でも頭に浮かぶ。
だったらあたしじゃなくてまた、そこで花嫁を見つけてくればいいのにっ…
そう思いながらもグレイが女生徒を淫らに相手にする姿に複雑な感情が芽生えていた…
どんな女の人達なの…
貴族の御婦人達を相手にして回る反面で、こんな身分も何もないあたしを花嫁と決めつけた。
ただ、血が美味しいってだけで…
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