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“ああっ…っ…”
「……ん…」
“……あっ…はぁ…”
「……ん…な、に?…」
カーテンを閉めきった真っ暗な部屋の中。静かな空間で微かに耳に届く高い声がルナを眠りから呼び覚ましていた。
「…あぅっ……い、…」
―――!
また!?…
かすむ瞼を擦り、起き上がったルナの耳に今度はハッキリとした女の泣くような声が聞こえてきていた。
ルナはベッドから這い出ると声の出処を探りながら窓に近づく。
そして息を飲んだ──
三階の部屋の窓から下を覗き目に飛び込んできた男女の戯れ。
花壇の陰に隠れ、半裸の躰で絡み合い激しく悶える女の表情が月明かりと邸の照明に照らされ、ハッキリと見えていたのだ。
なに!? 何なの!?
外からも邸のどこかからも、悲鳴にも似た女の悦に入った声が聞こえてくる。
ルナは恐る恐る自分の部屋から出ると三階の薄暗い廊下を歩いた。
静まり返ったルナの今居る場所と違い、会食の開かれている二階の方からその声は響いてくる。
ルナは自分の部屋と同じ階にある、グレイの静かな部屋を素通りすると二階に下りる階段を目指した。
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