case.1 夜道

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 スマホの画面に知らないピエロの顔をしたアイコンが表示されている。    こんなアプリ、インストールしたっけ?  会社から家に帰る道すがら、携帯をいじる。  歩きスマホが駄目なのはわかっているけれど、今は深夜0時過ぎ。  明かりの少ない人通りの全くない裏路地をひとりで歩くのに、液晶画面の光はほんの少しの安らぎを与えてくれるし、何より気が紛れるからついついやってしまう。  何のアプリだろうとピエロマークをタップして、アプリを起動させる。  すると、【KILLER CLOWNS】という何かのタイトルが表示された。  キラークラウン? ゲームアプリかな? 怖いのだったら嫌だな……。  それでも気になって、タイトルの真下に表記されている〔top to start〕の文字を恐る恐るタップすると、真っ暗なローディング画面になり、 “ィヤッハッハッハッ!!”  甲高い奇妙な笑い声と共に不気味なピエロの顔が浮かび上がってきた。 「何これ、びっくりした……」  思わず口に出して言ってしまう。    周りを見るも、近くの蛍光灯がちかちかと明滅しているだけで誰もいない。
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