case.1 夜道

4/5
前へ
/73ページ
次へ
「ィヤッハッハッハッ!!」 チェーンソーを持ったピエロが哄笑しながら走ってきた。 「い、嫌ッ」  追いつかれたら死ぬ――自分が切り刻まれる姿が脳裏に浮かび、私は走った。全速力で走ろうとするが、ヒールを履いていて上手くスピードが乗らない。 「ィヤッハッハッハッ!!」  けたたましい程高く鋭い笑い声とチェーンソーの刃が回転する轟音が暗闇を切り裂くように鳴り響く。  誰か……!  助けて……!  いくら走っても誰もいない。  笑い声がだんだん近付いてくる。  ピエロがすぐそこまでやってきている。  このまま走れば、真夜中でも車が多く行き来する大通りに出られるけど、そこまで行くまでに追いつかれ―― 「キャッ!?」  何かに躓き、ヒールが片方脱げてその場に倒れた。 「ィヤッハッハッハッ!!」  上半身を起こすと、背後に迫るピエロが見えた。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加