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「くっ」
足を挫いてしまい、立ち上がることしか出来ない。もう駄目だ。どうしようどうしようどうしよう……。
「!」
その時、さっき転げた時に落としたバッグから飛び出た中身が私の視界に入ってきた。アレしかない……!
「ィヤッハッハッハッ!!」
ピエロはソレを拾おうと屈んだ私の前に立ち、チェーンソーを唸らせながら頭上に掲げた。
一瞬の出来事だ。
チェーンソーが振り下ろされるより先に、拾い上げた催涙スプレーをピエロに向けて噴射した。
「ギィヤッ!!」
一際甲高い悲鳴を上げて、ピエロはチェーンソーを放り投げて両手で眼を覆った。
今しか無い。
私は挫いた右足の痛みを振り切って、走り出そうとし――
「ィヤッハッハッハッ!!」
目の前の角から現れたピエロを見て、絶句した。今度は斧を持っている。
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