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長い鎖が付属した輪っかは、円周が小さすぎて明らかに腰につけるベルトじゃない。
犬の首輪よりベルトの幅が広く、皮が黒光りしている。
「……これ……なんに使うの?」
おそるおそる、情けないほどの声で叶多は訊ねてみた。
「犬が逃げないように、じゃないのか?」
「……あたし、べつに逃げないよ!」
「叶多は自分のことを犬だって認めるらしい」
戒斗がおもしろがって叶多の髪をつかんだ。
ずっと幼い頃、よくやられていたように引っ張られる。
「大丈夫だ。こういうのを使う気はない」
「って言いながら一回縛られた!」
叶多が責めてもどこ吹く風で戒斗は笑い、手を離して箱のなかのカードを取りあげた。
「だれから?」
「……真理だ」
そう言ったとたん、戒斗の瞳が妖しく光った。
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