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触っているのは叶多で優位に立つはずが、やはり余裕があるのは戒斗でちょっと癪に障る。
大丈夫。だってあたし、インランなんだから! これくらいのこと……。
そう自分に言い聞かせても勇気は必要で、それを掻き集めるのに手こずった。
そうやって戸惑っているうちに、戒斗の手がお湯のなかに潜って叶多の両手首をそれぞれに捕らえてしまう。
「戒斗?」
「ここまで、だ」
叶多ができないと思ったのか、ただ気が変わったのか、戒斗は命令みたいな言い方をした。
「だって――」
「いまの叶多を見てると、ヘンな気分にされる」
「ヘンな気分て?」
「子供にワイセツ行為を強要してるようで疾しい」
からかうのではなく真顔で戒斗が言うと、叶多はよけいに惨めな気分にされた。
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