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「叶多」
「……手が固まっちゃってる」
戒斗は小さく唸ってから、つかんだままだった叶多の手首を離すと、ふくらみに手を伸ばした。
「動くなよ」
戒斗は警告し、叶多の胸に触れた。
叶多の目が大きく開いて、それに釣られたように口がかすかに開く。
戒斗の指がうごめくと叶多はたまらず目を閉じて、同時に手が緩んだ。
すかさず戒斗が叶多の手を遠ざけ、かわりに躰をぴったりと引き寄せた。
さっきまで手のなかにあった戒斗が叶多のおなかに当たる。
「戒斗」
なぜだか情けない気持ちで叶多はつぶやいた。
耳もとで戒斗が力なく笑った。
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