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しばらく戯れてから戒斗は顔を上げる。
咥えていた場所は色を濃く硬くして、誘うように濡れて光っている。
叶多の髪に紛れる花びらが視覚的にエロティックさを増す。
「いやいや言うけど、叶多の躰は反対のこと言ってる。やだ、じゃなくて、もっと、だ」
叶多の口もとに息がかかり、脅迫めいて戒斗が囁いた。
目を開けるとほんの間近に残忍さを加えた眼差しがあった。
「戒斗……」
名をつぶやいた叶多の目は熱に潤み、天井からのオレンジ色の灯りが反射してキラキラと光を放つ。
「やっぱり叶多はガラスみたいだな。ぐちゃぐちゃに掻き混ぜて舐めたい。フルコースの仕上げだ。叶多を砂糖みたいにドロドロに溶かしてやる」
潤んだ瞳からガラスの粒が落ちる。
魅入られた悪魔は、叶多のやわらかいくちびるをまえにして、晩餐はこれからだといわんばかりに口を開いた。
-The end.-
Will be continued in the Episode 10.
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