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「まあ。関係なくもないんだけど。悶々しちゃうのよね。このアパートの壁、防音できてないから」
すました口調に、叶多は固まった。
「……え?」
「頼くんのせいじゃない? よっぽど溜まってるのね。このまえの日曜日は真っ昼間からすごかったんだから。叶多ちゃんのあの声、そそられちゃうのよ。戒斗、今度参加させてくれないかしら――」
「真理」
戒斗がさえぎる傍らで、今度は本当にパイ生地が喉に貼りついて詰まった。
叶多は拳で胸を叩きつつ、コーヒーを飲んで流しこんだ。
先週の土日、好きにしていいといった手前、後ろめたいこともあって無下にもできず、戒斗のなすままにやられた。
叶多はほとんど寝ていたと言っていいくらい、日曜日はぐったりした。
なんとか頼が戻ってくるまでには復活したのだけれど、頭のなかは飽和状態で自分がどうなっていたのか、記憶はまったく定かではない。
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