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文化祭の日は、そろそろ観覧者たちが引きあげるかという頃に生徒会室を出た。
二時間近く姿を消していたわけで、ユナたちと合流すると、ふたりは陽から勘繰るように見られた。
戒斗はしたたかな様でにやりと返したけれど、つと陽の視線は叶多に集中した。
平然とやりすごすつもりが、お盛んだよな、という陽の言葉にもろに反応して叶多は赤面してしまった。
そのあとの、へぇ、という冷笑で鎌をかけられていたことに気づいた。
簡単につけこまれて、隠し事のできない性格はいつまでたっても直りそうにない。
戒斗は惨め顔の叶多を見て、小さなため息と一緒に肩をすくめた。
「学校じゃ優等生だった戒斗がねぇ。ある意味、叶多ちゃん立派だわぁ」
戒斗は不愉快そうに真理奈を見据えた。
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