極上のメニュー

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 続いて起こる、審査員からの拍手―― 「岡山くん、よくやってくれた……これで、我らが極上のメニューの面目は保たれた」  満足げな表情を浮かべ、岡山の肩を叩いたのは、東都新聞社の社長・安藤礼次郎(アンドウ レイジロウ)である。安藤は、にこやかに会場を見回していた。だが、ふと疑問を感じ岡山の方を向く。 「そういえば、栗村くんはどうしたんだい?」 「栗村ですか……彼女は今ごろ、どこにいるんでしょうねえ。栗村にも、この勝利の場面を見せたかったですよ。おい栗村、俺たちは勝ったぞ……」  虚ろな表情で、岡山は言った。  その視線は、今まさに審査員の胃袋の中に消えようとしているステーキに向けられていた。
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