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「えぇっと、なんだ? これ」
「答えられないの? なんなのよこれ。ケーイチのジャケットのポケットから落ちてきたけれど」
あの時か。ハンカチを取り出した時だろう。
なぜそんな物が俺のジャケットに?
どういうことなのか訳が分からず、答えに窮して、俺はただただ苦笑いするのが精いっぱいだった。
「わ、わからないよ……」
「ああ、そう。答えたくないのね。だったら言ってあげる。浮気していたんでしょ? それもあろうことか三人と!」
「違うよ。俺はそんなことはしないよ」
確かに俺はイケメンでモテるが、そんな不誠実なことはしない。
彼女は周りの目も気にせず、大声で詰め寄ってくる。
「もういいわ。さようなら」
彼女は俺の顔に、それらの見知らぬ写真を叩きつけて行ってしまった。
俺は呆然と立ち尽くし、足元に散らばったポラロイド写真に視線を落とした。
名前も知らない少女たちが、俺の顔を見て笑っていた。
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