炎の花

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洸一の故郷長野から彼の母親・志津子が 訪ねて来たのは九月の下旬だった。杏奈が 義母と顔を合わせるのは結婚式以来である。 当たり前だが、どことなく面差しが洸一と 似ていて、眉間に深く縦皺が刻み込まれて いる。杏奈の実母とそれほど歳は変わらない はずだが老けて見えた。 「ご無沙汰しております。私のほうから 伺えずに申し訳御座居ません。」 「本当よ。子どもをダシに出来て 良かったわね。」 「は?」 いきなりのカウンターパンチだった。
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