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「申し訳御座居ません。温度計があり
ませんので七十度を測りかねます。今度
用意しておきます。」
杏奈はそう言いながら保温されたポットの
湯を急須に注いだ。白い湯気が立っている。
二百度にして出してやろうかな。…ゴメン
ね、こーちゃん。お義母さんと良い関係を
築きたかったけど、無理みたいだわ。
別の湯飲みに緑茶を注ぎ、今度は無言で
志津子の前に置く。
「何か言うことがあるでしょ。」
「何を言えと?」
「まったく、ああ言えばこう言う人だこと。
肝心なことは言わないくせに。」
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