居酒屋まるのハロウィンナイト

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「おまえは、ああはならない。約束する。」 静かに。 ゆっくりとミハイさんが話してくれる。 「おまえは守ってほしいと我らに乞うていない。死なないようになりたいと願ったこともない。我らがここを訪れるだけで、おまえに降りかかる災難を、我らが振り払うのは当然のことだ。」 「・・・ですが、皆さんに申し訳ないくらい、よくしていただいています。皆さんが来てくださるから、ここはやっていけています。俺は、甘えすぎているんでしょうか。」 「甘えてくれたら、いくらでも尽力するのだが、おまえはそれを望むまい?ならば、これまで通りでよい。我ら人ならざる者どもを、客として迎えて、酒を飲ませてくれればいい。そういう場があるというだけで、我らは救われるのだ。」 それだけでいいと言われ。 今までと同じように迎えてほしいと言われ。 俺は、ただただ、感謝するしかなかった。 ありがとう、ミハイさん。 ありがとう、お客さんたち。
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