現実はそうあまくないもんで

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それから僕は一生懸命に頑張っていた。母から料理の基礎から教えてもらい、だけど最初のうちは今まで料理なんか一切したことがなかったのでろくに卵さえも割れなくて悔しかったのを今でも覚えている。それでも僕は必死に頑張った。最終的な目標は世界でも通用するような料理人だが、まずは母の手を何も借りずに母に僕の手料理を食わせる。それが第一の夢だった。 だけど、その願いを神様は答えてくれなかった。 僕が料理に熱中して4年目の中学二年生のことだった。母は買い物帰りの際に大型トラックに引かれたのだ。即死だった。今まで女手一つで育ててくれた唯一の母がいっしゅんにしていなくなった悲しみは余りにも大きかった。 それに、もう手料理をご馳走する人はいなくなってしまった。 それから僕は性格が変わってしまった。何をするにもやる気が出せなく喧嘩もするようになった。一言で言うなればグレた。当然、周りの人は僕にとかよらなくなり本当の意味で孤独感を感じずにはいられなかった。 そんな時に、彼女が現れたのだ。
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