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アザだらけのビーグルのキィオは、びっこをひいて人通りを避けて走り回った。
・・・自分は・・・
・・・自分はいったい何なんだ・・・?!
・・・飼い犬は飼主から『餌』を貰ってるが、野良犬は生ゴミを荒らして『餌』を得るしかない・・・
・・・じゃあ、自分は・・・?
・・・元『カラス』の自分は・・・?
・・・やっぱり、外野『野良犬』みたいに拾い食いしかないのか・・・?
・・・じゃあ、自分の立場は・・・?!
・・・飼い犬は飼主に・・・
・・・野良犬は野良として・・・
・・・元『カラス』の自分は・・・?!
かー、かー、かー、かー、かー!かー、かー・・・
・・・チクショウ!!自分が『カラス』のままなら、あの頭上のカラスと話が出来るのに・・・
・・・あのカラス、自分のこと何と言ってるのかなあ・・・
・・・腑抜けた『犬』の自分を嘲笑ってるのかなあ・・・
・・・戻りたい・・・『カラス』に・・・
・・・やっぱり、『犬』としても自分は駄目だったよ・・・
・・・『カラス』で生きてきて居場所を無くし、違う居場所を求めて『犬』になっても、更に居場所を無くすなんて・・・
・・・『カラス』でも『犬』でもダメなら、今度は何に変えて貰おうか・・・
・・・あのドードー鳥、何処へ行っちゃったのかなあ・・・?
・・・ドードー鳥、何処に居るんだあ・・・!!
・・・自分を『カラス』と『犬』以外に変えてくれぇー・・・!!
挙動不審に、ヨロヨロとよろめいてほっつき歩く犬のキィオの後で、暗闇にきらりーんと光る鋭い目が浮かび上がった。
「じーっ。」
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