溺愛ラビリンス

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 目が覚めた時、日は高く、叔父は家を出た後だった。じりじりとした夏の日差しが刺すように降り注ぐ。一瞬、夢だと思おうとして、裸で横たわる自分の体が昨夜の現実を思い起こさせた。  叔父はいったいどんな顔をして仕事へ行ったのだろうか…。  軋む体を起こし、熱っぽいと感じながらシャワーを浴びた。ぬめる体を洗いながらひとしきり泣き、居間のソファで膝を抱えて頭を真っ白にした。  何時だろう。お昼を過ぎた頃かな。時計を振り返るのも面倒で、来客を告げる呼び鈴が何度も鳴るのをぼんやりと聞いた。新聞の集金か、何かの勧誘か、どうでもいい。 『おーい、明、いないのか~?』  ――え……? 浩君?  今、一番聞きたくない声。会いたかった声。でも会いたくない、会えない。会いたい。会えない。 『おかしいぁ……、窓が開いているのになぁ』  3日会っていないだけなのに、ドアの向こうのその声はとても遠い。  会いたい、会いたくないと頭の中が嵐のように行きつ戻りつし、体は意思を裏切って転がりながら関へ向かっていた。脅えるように開いたドアの向こうに、明るい外の世界を背負った浩が立っている。汗ばんだ肌に、刈り込んだ涼しげな髪が張り付き、健康そうに日焼けした顔を縁取っていた。
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