溺愛ラビリンス

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「やっぱりいたじゃん」 「ひろしくん……」 「どした? 目ぇ赤いぞ?」 「ひろ……」  お帰りなさいと言おうとして、会いたかったと伝えようとして、なぜか懐かしいと思ってしまった浩のはにかんだ笑顔に、引きつりそうな自分の顔を意識しながら、頑張って笑顔で応えようとした。途端、膝から下の力が抜けてがくがくと、浩の腕にしがみつきながら倒れこんだ。 「おわっ! 明! 大丈夫か!?」 「ごめ…ちょ…立ちくらみ」  支えようとする浩と、何とか自分で立とうとする明と、絡まるようにして居間へ入り、二人でソファに崩れ落ちた。 「寝てろ。布団敷いてやるから」 「や…、ダメ! ダメ! ここでいい!」 「具合悪いんだろ? 寝てろって」  あの部屋のあの布団を浩に見られると思うと息が詰まりそうだ。昨夜の気配がする部屋。布団の上で為された行為。そんな残像が残っているようでいたたまれない。
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