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「アキー、アキおいで」  風呂から上がった後、一仕事あるからと部屋にこもっていた叔父が明を呼ぶ。日常から非日常へ変わる瞬間が、明はいつまでたっても慣れないままだ。 「お仕事、終わった?」 「終わったよ。待った?」 「……ん」  机の上を片付ける叔父に近づくと、優しい腕が伸びてきてふわりと髪をかき撫でる。明はうつむいて唇を噛んだ。叔父の撫で回す手、甘い痺れを引き出す唇、そして、身体を狂わせる刺激がざわめく期待になる。そんな自分が恥かしい。 「アキ、今日何か良いことがあった?」 「え……、別に何も。どうして?」 「ん~、何だか可愛い」 「やだな、可愛いなんて……」 「ふふ」  顔を隠すための少し長めな前髪を、叔父は何度もかき上げて、撫で付けながら明の顔を露わにする。その目には確かに明に対する優しさがある。慈しみがある。同時に迷いのような哀しみも見え隠れした。
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