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「アキを、どうぞよろしくお願いします」
夕方。
明の当面の着替えなどを持って来た叔父は、道隆に向かって深々と頭を下げた。
「大切にお預かりします」と言う、道隆とのやり取りが、他人事のような不思議な光景に見え、そうか、自分は今から道隆さんと暮らすのかと、実感を伴わない、もやもやした気持ちが落ち着かなかった。
「アキ……」
叔父に呼びかけられても、どんな顔をしていいのかわからず、戸惑ったままぼんやりと叔父を見つめた。
「許して欲しいなんて虫が良すぎるけど。アキを苦しめるばかりだったわたしは、どうやって謝ったらいいだろう」
「おじさん……」
「許されないことをしてしまった。本当に、申し訳ない……」
今度は明に対して、手をつく勢いで頭を下げ、その肩は、後悔と哀しみの重さで震えていた。
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