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「ありがとう、かっこ良いは言い過ぎだけど。かえって虚しくなってしまうよ。」
「ご、ごめんなさい。」
俯いた未佳の顔を英治は改めて眺めた。
目は大きいとは言えないが、明るいブラウンのカラーコンタクトのせいか、少し潤んでいるように見える。
まつげは長く、きれいにカールしていた。
「ところで、それってカラコン入れてるよね。」
「はい、そうですよ。」
「どうしてカラコン入れてるの。」
未佳は怪訝そうな顔になった。
聞いてはいけないことだったのか。
「どうしてって、落とした時に見つけやすいからですよ。」
英治が思っていた以上に単純な答えだった。
「じゃあピアスはどうなの。」
「え、ピアスですか、これは重大な決意の時にあけています。」
高校生ですでに3つも重大な決意をしたのか。
成人までに耳が埋まってしまうぞ。
英治は何だか可笑しくなって、口に出さずにはいられなかった。
「十八歳ですでに3つって、成人する頃には耳がなくなってるんじゃないのか。」
薄ら笑いを浮かべながら、少し意地悪気に言ってみた。
「ヒドイ、絶対バカにしてますね。」
「バカにしてなんかないよ。小馬鹿にしてるだけ。」
「ひどすぎるぅ。」
楽しい。
英治は迷うことなくそう思えた。
未佳を誘ったことは、英治自身にもよく分からない、何となくという感じだった。
それこそ、未佳からの電話に出たのが英治でなかったら、今日のことはなかっただろう。
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