明日の配置はどこですか?

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 そうして次の日から未佳の研修が始まった。 と言っても一日だけで、二日目からは即現場配置だった。  英治は他の会社で定年を迎えた年配者と未佳を組ませて、簡単な交通警備に配置した。  それから一週間、交通警備に配置した後で、比較的難しくない工事現場に配置した。  未佳は特に評判が良いわけでもなく、かといってクレームがくることもなかった。 「クレームがこないってのは良い証拠だ。」 「でも良い人は指名がかかりますよね。もっとも俺も指名かかったことないんですけど。」 「まあそうだな、お前は指名多かったぞ。楽させるわけにはいかんので、断っていたがな。」  少しは楽をさせてくれ、そう思いながらも、自分にも指名があったことの方が嬉しい英治であった。 「未佳ちゃんかわいいっすね。今度おなじ配置にしてくださいよ。」  茶髪をツンツンに立てた大学生の雅人は言った。  警備中は帽子やヘルメットをかぶるため、仕事帰りはペッタンコである。  現在2年生なのだが、留年が確定している為、中退する予定である。  英治には人生を甘く見ていると感じられ、好感は持てずにいた。  しかしながら主任の評価は高かった。  可もなく不可もないからだ。 「スーパーマンなんかいらない。」それが主任の口癖だ。  優秀な人間は一握りであり、優秀であればあるほど後任がダメに見えてくるものらしい。  確かに英治には身に覚えがある。  以前に小さな交差点のど真ん中にあるマンホールの工事があった。  英治は交差点の真ん中で、見事に交通誘導を行った。  路線バスの経路でもあった為、バスの誘導も行った。  翌日は別の人が配置されたが、車が通行できないということで工事は中止された。  配置したのは年配者だが、しっかり者で評判の佐々木さんだった。  佐々木さんは愚痴りながら事務所に戻ってきた。 「昨日の人はバスも通していたぞって言われたけど、通るわけがない。あんなでたらめ言われるとは思わなかった。もう二度とあの現場には配置しないでくれ。」  英治はとても自分がやったとは言えず、作り笑いをするだけだった。
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