世界を救うその瞬間

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世界を救うその瞬間

俺の生まれた世界では、人類殺戮システム的存在の悪魔という存在がいた。 更に五百年に一回くらいのペースで、その悪魔を統べる悪魔つまりは魔王が復活する。 しかし魔王が復活すれば抗う者、つまりは勇者もまた現れる。 雷雲が立ち込める城、所謂魔王城という場所で少年は神の手で鍛え上げられたと言われる、金色の剣エクスカリバーの切っ先を、禍々しい黒と紫色の歪な龍の形をした魔王へと向けた。 「全ての悪魔は俺が殺した。最後はお前だ魔王リヴァイアサン!」 『ほう。貴様が人でありながら、儂の配下の悪魔すら一人で葬ったという勇者か』 その悪魔は口元を歪めると、毒の息が周囲に撒き散らされる。 「・・・」 『悪魔は強さが全てだ。どうだ?儂の配下となるなら世界の半分を与えてやってもよいぞ』 「戯れ言はそれだけか?」  少年の野獣のような鋭い視線を受けて、悪魔はふんと鼻息を漏らす。 『人間とは随分と間抜けな生き物なのだな。自ら生きる事の出来る時間を減らしに来るとはな』 魔王はとぐろを巻いていた尾を伸ばす。 自らの城を破壊しながら、魔王リヴァイアサンは戦闘体勢へと変わる。 『さあ、その小さき身に愚かさという恐怖を刻みこみ、無惨に無様に殺してやろう!』 魔王は咆哮に似た雄叫びを上げ、口から複雑に何重にも編み込まれた魔法陣を浮かび上げた。 それと同時に少年はニヤリと笑う。 「自己犠牲魔法陣解放」 その呪文じみた言葉と共に、少年の体から蒸発しているように光が溢れ出す。 自分の生命力をエネルギーに変換され、光は頭上に掲げた剣へと流れる。 『なに、まさか貴様相討ち覚悟で』 魔王がたじろいだ隙を見逃さず、少年は空に掲げた剣を振り下ろした。 「聖剣絶我(エクシードカリバー)!!」 少年の聖剣の光は魔王は勿論のこと、放った少年の体すらも飲み込み空気中に霧散するようにお互いが消滅した。
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