第1章-最終話 1つ目のゴール

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全部持って、次の大陸に行く。 私は希美ちゃんとの世界を夢見る。 だから、私は先に進む。 願いを叶えるために、私は全力で進む。 もちろん、次の大陸でも敵対する存在に出会うだろう。 私は口が裂けても、その敵対する存在と戦わないなどとは言えない。 敵を地獄に落としながらでも、私は願いを叶える。 私は私のことを第一に考える。 私は、私の願いを叶えなければならないのだ。 おそらく、私が地獄に落とすことになる奴らにも願いはあるのだろう。 話し合いで相手との妥協点を見つけられるのならば、それに越したことはない。 だが、この世界ではその妥協点とやらは存在しないのだ。 だから、平等に、決められたルールの中で全ての能力を出し切り、相手を倒す。 私も相手を倒すが、相手も私を倒す。 勝った者がその願いに近づき、負けた者は地獄行きに近づく。 それでいい。 それが、この世界のルールなのだ。 だから、私は敵と戦う。 でも、戦う必要のない者達にはできるだけ優しくしよう。 それでいい。 それが、私という人間の在り方なのだ。 私は今回の大陸で、私の叶えたい願いだけでなく、その生き方についても理解できた気がする。 私は扉の中に足を踏み入れた。 私が入りきると、扉がバタンと音を立てて閉まった。 扉が閉まる前、私の耳に、 「せいぜい頑張ってくれ。 期待しているよ、アリシアのお友達」 という言葉が聞こえてきた。 それが、私がはじまりの大陸で聞いた最後の言葉だった。 「言われなくても頑張るよ」 私はそう呟いた。 ガスマスクとサイコロ 第1章 完
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