1話 臭い世界

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しかし、私は1ゼンを持っていない。 私は単位ゼンのお金を所有していないのだ。 所持金がマイナスになれば地獄行き。 0から1をひくとマイナス1だ。 クリアすれば5000ゼン獲得、失敗すれば地獄行き。 それこそが、今回のミッションの成功、失敗時の私に対する真の報酬でありペナルティだ。 そのことをふまえて、目の前で歩いている角の生えたイノシシを見る。 おそらくあれが、角イノシシだろう。 そして、すぐに視界を草原にうつす。 草だらけの草原に目を凝らす。 木の棒があるな。 私は思った。 長さ1mほどの木の棒が、私の10mほど前にいる角イノシシの近くに転がっている。 あの棒をとって殴り掛かれば、倒せるかもしれない。 私はその木の棒を取ろうと、一歩だけ足を進めた。 瞬間、角イノシシが私のほうに向いた。 あたりに不穏な空気が流れた。 私は拳を握る。 気が付くと、私はジャバラが渡してきたサイコロを2つ握りしめていた。 しかし、そんなことはどうでもいい。 あのおそらく鋭利な角を持ったイノシシに、サイコロ2つでは太刀打ちできない。 イノシシの近くにある木の棒が必要だ。
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