1話 臭い世界

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私に対して敵意丸出しの、角の生えたイノシシがとうとう突っ込んできた。 身体能力。 イノシシと人間。 まず勝てない。 イノシシの突進を避けたその隙に、木の棒まで走る必要がある。 「来なよ」 私はイノシシの方に向き直った。 まずイノシシの攻撃を避ける。 そのことに集中するのだ。 イノシシが近づくまではまったくとして動かず、イノシシに突進される瞬間にさっと体を逃がす。 それを実践した。 その瞬間、私の体に衝撃が走った。 角イノシシが私にぶつかったのだ。 避けるのに失敗してしまったみたいだ。 角イノシシのスピードは、私が想定していたよりも速かったのだ。 なんとかその角だけは避けることができたが、角よりも面積の広いその体が、私に当たってしまったのだ。 私は少しだけ宙をまうように吹き飛んでから、激しく地面に叩きつけられた。 私の手に握られていたサイコロが、その反動で地面に落ちた。 「いってえなぁ」 私は小さくつぶやいた。 ガスマスクがずれている。 私はそれを左手で戻した。 足が折れてるな。 私は足が明らかに異常な方向に曲がっているのを見て、そう感じた。 もう歩くことすらできない。 角イノシシがこちらに向きなおった。 また突っ込んでこようとしてるんだろうな。
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