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私に対して敵意丸出しの、角の生えたイノシシがとうとう突っ込んできた。
身体能力。
イノシシと人間。
まず勝てない。
イノシシの突進を避けたその隙に、木の棒まで走る必要がある。
「来なよ」
私はイノシシの方に向き直った。
まずイノシシの攻撃を避ける。
そのことに集中するのだ。
イノシシが近づくまではまったくとして動かず、イノシシに突進される瞬間にさっと体を逃がす。
それを実践した。
その瞬間、私の体に衝撃が走った。
角イノシシが私にぶつかったのだ。
避けるのに失敗してしまったみたいだ。
角イノシシのスピードは、私が想定していたよりも速かったのだ。
なんとかその角だけは避けることができたが、角よりも面積の広いその体が、私に当たってしまったのだ。
私は少しだけ宙をまうように吹き飛んでから、激しく地面に叩きつけられた。
私の手に握られていたサイコロが、その反動で地面に落ちた。
「いってえなぁ」
私は小さくつぶやいた。
ガスマスクがずれている。
私はそれを左手で戻した。
足が折れてるな。
私は足が明らかに異常な方向に曲がっているのを見て、そう感じた。
もう歩くことすらできない。
角イノシシがこちらに向きなおった。
また突っ込んでこようとしてるんだろうな。
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