1話 臭い世界

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くさい。 臭い。 臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い。 この世界のあまりの異臭に気付いた私は、4年前からガスマスクをかぶり始めた。 普通のマスクではこのにおいは消せはしない。 毒のようなこのにおいは、ガスマスクくらい使わないとかき消せないのだ。 金髪の地毛に、高校の制服、さらに毒々しいマスクという私の風貌が目立つのは分かる。 しかし、私はどうしてもマスクをかぶらねばならないのだ。 人があふれる電車、その中で数多の人間が私のほうを見る。 最近、私を物珍しそうに見る人間は減ったような気がする。 私はこのマスクをかぶって2年間も高校に通った。 さすがに同じ電車に乗り続けた人間は、私のことに慣れてきたのかもしれない。 しかし、いまだに誰も私の隣の席に座りはしない。 「うわ、霧山いるじゃん」 そんな声が、電車内に響いた。 私は興味もなく、目の前を眺め続ける。 「あいつ、なんであんなマスクしちゃってんの?」 「まじきもいよね」
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