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話長いな。
スナイパーライフルと呼ばれた銃の先端を、私は自らの後頭部にコンコンと当てた。
「さて、この村の住人である彼らに話を聞こうか」
サラリーマンが黒色のローブをまとっている老人のほうに向かった。
「なあ、この世界はいったいなんなんだ?」
サラリーマンが尋ねたが、その爺さんは特に何も答えずに、1つの方向を見つめ続けている。
「ねぇ、これじゃない?」
キャバ嬢のように髪を異様なほど盛り上げ、きらびやかなドレスをまとった女性が口を開いた。
キャバ嬢は爺さんの胸元に浮かんでいる1つのプレートを指差している。
その緑色のプレートには白い字で、
"喋りかける"
ただそう記されている。
キャバ嬢がそのプレートに人差し指で触れた。
「500ゼンくれるなら、わしが色々な奴らから聞いた話を貴様に教えてやろう」
老人はそう口にし、胸元に現れていたプレートは数を4つに増やしていた。
プレートに書かれている内容にも変化が見える。
老人の前に現れているプレートには、
"盗人の話"
"格闘家の話"
"ローブをまとった女性の話"
"話を聞かない"
そう記されていた。
キャバ嬢は"話を聞かない"のプレートにその指で触れた。
「え、聞かないのかよ?」
ネルシャツにリュックというオタクっぽい風貌の男性が、不満そうな声をあげた。
「なら、あんたが500ゼン払えば?」
キャバ嬢が冷たくそう口にした。
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