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「じゃあ、まずはここでのミッションを全うしましょう」
キャバ嬢が宿屋を見た。
「ね、霧山ちゃん」
キャバ嬢が口にした内容で、1つ引っかかる。
「なんで私の名前を知ってるの?」
「みんなの心臓部分を見て」
私ははだけたキャバ嬢の胸元を見た。
緑原 美代。
そう記された緑かつ透明の名札が、その胸元に浮かんでいた。
私のガスマスクを取ろうとしたジャージの男は、新川 太一。
オタクっぽい男性は平川 清二。
話の長いリーマンは押川 三波。
なるほどね。
その胸元を見れば、簡単に名前を知ることができるようだ。
私は理解した。
しかし、得体の知れない他人の名前を覚えようとも思えなかった。
「さて、じゃあ宿屋に行こうか」
キャバ嬢がそう告げた。
私達は特に反論することなく、その発言に従う。
宿屋の木造のドアを開けて、その中に入った。
1人の女性がカウンターで受付をしている。
エプロンを身に着けている顔立ちの整ったその女性の胸元にも、プレートが浮かんでいる。
"喋りかける"
そう記されたプレートにキャバ嬢が触れた。
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