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理解した私は道具屋から出た。
道具屋の外に出た私のもとに、眼鏡をかけておどおどとした、気の弱そうな男性が走り寄ってきた。
「いい情報があるぞ。
この村の中に、5時間働けば1000ゼンもらえる所があったんだ」
「へえ。
どこにあるの?」
「宿屋の向かいの民家だ。
近くの畑で作業すれば、1000ゼンくれるらしいぞ」
嫌いだ。
嫌いだなぁ、この感じ。
私にそのことを伝えにくる必要は、まったくない。
勝手に1人で働いて、1000ゼンを入手すればいいのだ。
なんで私に言うの?
私に伝えた理由その①、不安を拭い去りたかった。
自らの選択に不安がある人間がとる行動は1つだ。
自らじゃない者にその選択を肯定してもらう。
私にもそいつが提案する行為を行わせることで、不安を消し去りたかったのだろう。
私に伝えた理由その②、いい人アピール。
私に有益な情報を伝えたという事実をアピールしたかった。
そうすることで、私を味方にできると考えたのだろう。
嫌いだ。
嫌いだなぁ。
本当に嫌いだなぁ。
こいつも。
こいつの純粋な親切からかもしれない行動を、こうもひねくれてしか見れなくなった私自身も。
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