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まったく知らない町を歩いた。
コンクリートだらけのこの町。
道行く人間がみんな私のほうを見る。
見るな。
そう願うが、それは不可能だろう。
金髪、制服、ガスマスク、さらに吐瀉物。
その異様な存在を見るなというほうが不可能だろう。
正義とは何だろう?
私はよく考える。
私はそれになりたかった。
しかし、私とそれには恐ろしいほどの差がある。
その事実を、私は悲しいほどに痛感している。
私は正義を諦めたのだ。
"正義感が強い子だね"
私は大人達から、そう言われ続けて育った。
しかし今、その頃の正義感は全くと言っていいほど無くなってしまった。
私にはかつて友達がいた。
同じ小学校かつ家も近所だったことから仲良くなった澤村 希美ちゃん。
しかし、希美ちゃんは中学校でイジメにあった。
同級生達からイジメられていた希美ちゃんを、私はなんとか守ろうとした。
しかし、それは徒労に終わったのかもしれない。
希美ちゃんは中学校2年の夏、自殺したのだ。
私はひどく絶望した。
しかも、希美ちゃんをイジメていた奴らには重い罰すら与えられなかった。
それどころか、奴らは全く懲りる様子も無く、新たなイジメのターゲットを作り出したのだ。
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