120人が本棚に入れています
本棚に追加
「くふふふふふ、おはよう」
不意に女性の声が聞こえた。
私のガスマスクからのぞく目に、1人の女性が映っていた。
その女性はまとっているコートについたフードで顔の上半分ほどを隠し、右手にサイコロを2つ持っている。
「なに、あんた?
それになに?
この世界?」
あたりは、真っ白。
本当に真っ白な世界だった。
地面も空も真っ白。
唯一真っ白でないのは、私と目の前のコートをまとった女性だけだった。
その女性はフードにより、その口元しか見えない。
まあ、私はガスマスクでその目元しか見えていないからお互い様だ。
女性は唯一見えている口元をゆがめて、微笑んでいる。
「私とここ?
私はジャバラ、よろしく。
そして、ここは地獄の入り口じゃないかな?
罪を犯した魂を地獄に落とす入り口なんだよね、実は」
「ふーん」
ジャバラと名乗った女性は不思議そうな顔をした。
「地獄の入り口ってのを告げると、大抵の人間はびっくりしてくれるんだけどね?」
最初のコメントを投稿しよう!