1話 臭い世界

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「くふふふふふ、おはよう」 不意に女性の声が聞こえた。 私のガスマスクからのぞく目に、1人の女性が映っていた。 その女性はまとっているコートについたフードで顔の上半分ほどを隠し、右手にサイコロを2つ持っている。 「なに、あんた? それになに? この世界?」 あたりは、真っ白。 本当に真っ白な世界だった。 地面も空も真っ白。 唯一真っ白でないのは、私と目の前のコートをまとった女性だけだった。 その女性はフードにより、その口元しか見えない。 まあ、私はガスマスクでその目元しか見えていないからお互い様だ。 女性は唯一見えている口元をゆがめて、微笑んでいる。 「私とここ? 私はジャバラ、よろしく。 そして、ここは地獄の入り口じゃないかな? 罪を犯した魂を地獄に落とす入り口なんだよね、実は」 「ふーん」 ジャバラと名乗った女性は不思議そうな顔をした。 「地獄の入り口ってのを告げると、大抵の人間はびっくりしてくれるんだけどね?」
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