1.悪徳部

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【友達2】 「でもね稔くん、僕はこの生き方を変えるつもりはないよ」  わかっている。そもそも俺は彼に生き方を変えろとは言ってない。だからこそ彼の目を見据えて「知ってます」と言葉にする。それを聞いているのかいないのかわからないタイミングで彼は話し始める。 「僕ってほら、かっこいいし黙ってても女性が寄ってきちゃうじゃない? 変えられないんだよね」  そこはわかる。理解もできる。彼は男の私から見ても美形で、いつも女性に囲まれていて。だからこそ「そうですね」と同意した。 「ほら、髪も綺麗な金色だし目だって綺麗なルビー色でしょ。これ地毛だしカラコンでもないからね」  それも知っている。彼は生まれついてその髪と目を持っていたことは稲嶺さんから聞いている。中学生時代は黒のカラコンで隠していたことも、彼女から聞いている。 「でもね、僕の母さんはそれが嫌いだった。それだけじゃない。全部だ。全部嫌いだったんだよ、僕のこと」 「僕もこの顔も、声も、目も、全部嫌いだよ」  ああ、彼の言動の違和感はこれだったのか、とようやく気づく。彼はその言葉を口にするたびに傷ついて、その言葉を口にするたびに自分の首を絞めていたのか。 「そんなこと考えてたんですか、あの笑顔の裏で、言うたびに」  そんな言葉がつい口をついて出た。慌てて「俺は好きですけどね、かっこよくて。ほら、浅間氏の目も赤色じゃないですか。たまにすげー綺麗なんですよね、普段濁ってるのに」と付け足す。  彼は赤い瞳を小さく見開いてから、少しだけ後ろに下がりドン引きしたような様子で「君って本当躊躇いなく好きとか言うよね。頭大丈夫?」と口にした。その言葉には即座に反論する。 「大丈夫ですよ失礼な! 俺、遥さんの力になりたいんです」  そうだ。まだ隠していることがあるはずだ。笑顔の裏に、その表情の中に。
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