1.悪徳部

6/7
前へ
/13ページ
次へ
【友達5】 「というかさ、素で喋れば? 芦屋くんにはタメ口でしょ君」  彼の言葉に慌てて「え、でも年上……!」と反応すると「同級生でしょ」といつも俺がしていた返しが返ってくる。俺が一本取られたみたいになってるじゃないか。 「そ、それはそうなん、で……だけど……」 「友達、なってくれるんでしょ?」 「う……」 「僕も稔って呼ぶからさ。とりあえず呼び方から、ね」  とりあえず深呼吸を一つする。彼の目は相変わらず魔眼のようで、人を惹きつけるものを持っている。 「遥、で……いいのか? ん? 俺の口調これであってる? 高岸さんみたいになってない?」  もはや自分を見失い始めている俺を見て遥は静かに笑った。いつものニコニコした笑みではなく、どこか悲しそうに。それが彼の本当の笑い方だと知るのはもう少し後の話だ。 「なんで自分の口調わからなくなってんの」 「だってわからなくもなるよ……善処するよ……」 ◆ 以上、ツイッターにあげたものでした。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加