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【友達5】
「というかさ、素で喋れば? 芦屋くんにはタメ口でしょ君」
彼の言葉に慌てて「え、でも年上……!」と反応すると「同級生でしょ」といつも俺がしていた返しが返ってくる。俺が一本取られたみたいになってるじゃないか。
「そ、それはそうなん、で……だけど……」
「友達、なってくれるんでしょ?」
「う……」
「僕も稔って呼ぶからさ。とりあえず呼び方から、ね」
とりあえず深呼吸を一つする。彼の目は相変わらず魔眼のようで、人を惹きつけるものを持っている。
「遥、で……いいのか? ん? 俺の口調これであってる? 高岸さんみたいになってない?」
もはや自分を見失い始めている俺を見て遥は静かに笑った。いつものニコニコした笑みではなく、どこか悲しそうに。それが彼の本当の笑い方だと知るのはもう少し後の話だ。
「なんで自分の口調わからなくなってんの」
「だってわからなくもなるよ……善処するよ……」
◆
以上、ツイッターにあげたものでした。
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