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死にそうな黒い野良猫は星に願った。
「死ぬ前に恋をしたかったな」
「その願い叶えてやろう」
「え?」
空を見つめていた黒の野良猫は光に包まれながら人間の姿になった。
「……」
「お前の願い叶えてやったぞ、去らばだ」
「え…おい…」
人間の姿になった黒の野良猫は全裸のまま呆然となった。
そこへ2人の女性が現れ黒の野良猫を見て叫んだ。
「キャー」
「……」
全裸の野良猫は急いで女性達から離れ誰もいない廃墟ビルの中に入った。
「いきなり叫ぶもんな…」
疲れた野良猫は地面に倒れ丸くなりながら眠りについた。
それから暫くして2人の男性が肝試しをしに廃墟ビルの出入り口に現れた。
「本当に入るのか?」
「もしかして怖いのか?」
男性は小さな懐中電灯の明かりをつけ廃墟ビルの中に入って行った。
「おい、待てよ」
1人、取り残された男性は小さな懐中電灯をつけ先に行った男性を追いかけていった。
懐中電灯を便りに歩く2人の男性は丸くなって寝ている全裸の男性に築き懐中電灯を照らした。
気配を感じた黒猫は目を覚まし身体を起こすと2人の男性に目を向けた。
「…… 」
「どうして全裸で寝たんですか?」
「貴明、ほっといて帰ろうぜ」
友達が話しかけると貴明は上着を脱ぎ猫に差し出した。
黒猫は立ち上がり上着を「ありがとう」と言って受け取り上着をきた。
「あの?…」
貴明が言いかけたその時、友達が貴明の手を掴んだ。
「帰るぞ」
「……」
貴明は友達に手を掴まれたまま出入り口に向かって歩いていった。
黒猫は廃墟ビルを出ていく2人の姿をじっと見つめた。
外に出た貴明と友達は廃墟ビルから少し離れた場所で友達は貴明から手を離した。
「話を聞こうと思ったのに何で連れ出したんだ」
「貴明」
「何だよ」
貴明が返事をしたその時、友達に抱き締められた。
「周平?」
「貴明、お前のことが好きなんだ」
「何言って…」
「俺は本気だ」
周平は貴明を抱き締めたまま唇を重ねた。
貴明は抵抗しながら「やめろ 」と叫んだ。
叫び声を聞いた黒猫は周平に襲われている貴明の姿を見て助けに駆け寄った。
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