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貴明は黒猫を抱っこし「お前どうやって入ってきたんだ」と言った。
黒猫は言葉がわかるはずもないのに「人間の姿だったのは俺だ」と言った。
「裸足の男の人、どこに行っちゃったのかな」
貴明は黒猫を抱っこしたままベットに座り黒猫を撫でた。
「……」
黒猫は貴明の腕の中から飛び下りた。
「どうした?お腹がすいてるのか?…ちょっと待ってろコンビニでご飯を買ってくるから」
貴明がベットから立ち上がるとインターホンが鳴った。
「誰だろ」
貴明は寝室を出て玄関に行くと鍵をあけドアを開いた。
「周平…」
「昨日のこと謝りたくて来たんだ」
「顔、見たくないと言っただろ」
「貴明」
「今から仕事に行くんだ帰ってくれ」
ドアを閉めた貴明はドアにもたれながらしゃがみこんだ。
そこへ黒猫が現れ貴明に近づいた。
貴明は黒猫を撫でながら「仕事帰りに餌を買って帰るから人間のご飯で我慢してくれ」と言って貴明は立ち上がりキッチンに行った。
黒猫はキッチンに行き味噌汁ご飯を作っている貴明の姿をじっと見つめた。
その後、貴明は出来上がった味噌汁ご飯を茶碗に盛りその茶碗を持って振り返った。
「お待たせ」
貴明が床に茶碗を置くと黒猫が近づき味噌汁ご飯を食べ始めた。
「俺は仕事に行ってくるからおとなしくしてろよ」
黒猫の頭を撫でると貴明は仕事に出掛けていった。
「……」
「やあ猫ちゃん」
神様が黒猫の目の前に現れた。
「何で人間から猫に戻ったんだ」
「効き目が切れたんだよ」
「もう人間になれないのか?」
「人間になれるよ」
「頼む、俺を人間にしてくれ」
「わかった、完全な人間の姿にしてやる」
神様は魔法で黒猫を人間の姿にした。
「……」
「人間の姿にしてやったぞ」
「また猫に戻るんじゃ」
「心配するな、猫に戻るということはない」
「そうか」
「じゃあな」
神様はその場から消えていった。
黒猫は下着と衣服を着て玄関に行くと靴をはき外に出て貴明の匂いをたよりに追いかけていった。
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