猫の初恋

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それから暫く歩き黒猫は花屋で働いている貴明の姿を見つけた。 「見つけた」 黒猫は貴明に近づいた。 「すみません」 「いらっしゃいませ…」 振り返った貴明は目の前に立っている黒猫に驚いた。 「どうしてここに?」 「匂いをたよりに…」 「え…」 「何でもありません、近くの公園にいますから時間があいたら来てください」 黒猫はその場を離れ公園に向かった。 「貴明君、少しぐらいなら話してきていいよ」 女性店長が言うと貴明はすみませんと言って公園に向かった。 その頃、黒猫はベンチに座って貴明が来るのを待っていた。 「まさか猫の俺が人間になれるなんて思わなかったな…」 黒猫が1人言を口にしたその時、走って貴明が近づいてきた。 「はぁ…はぁ…はぁ…」 貴明は黒猫の隣に座り荒れる息を落ち着かせた。 「大丈夫か?」 「…大丈夫…」 「自己紹介がまだだったよな、俺の名前はのえ」 「のえさん…俺は内村貴明です」 「貴明さんと呼んでもいいですか?」 「いいですよ…あ!」 「……」 「一緒に来てください」 のえの手を掴みベンチから立ち上がると貴明は花屋に向かった。 ー花屋ー 「すみません」 「いらっしゃいませ」 女性店長は男性客に近づいた。 「赤の薔薇を10本、白の薔薇を10本、プレゼント用に包んでください」 「わかりました、少々お待ちください」 女性店長は赤の薔薇を10本と白の薔薇を10本をプレゼント用に包み始めた。 そこへ貴明がのえを連れて店に戻ってきた。 「いらっしゃいませ」 男性客に声をかけると貴明はのえを連れて奥に行った。 「お帰り……お待たせしました」 女性店長はプレゼント用に包んだ薔薇を持って男性客に近づいた。 「2500円になります」 「はい」 男性客は財布から3000円、出し差し出した。 「3000円、お預かりします」 女性店長は薔薇を男性客に渡しお金を受け取った。 「お釣りをお持ちします」 女性店長はレジに行き500円を掴むと男性客に近づきお釣の500円を差し出した。 「500円のお釣りです」 「……」 「ありがとうございました」 男性客がお釣りを受け取り花屋を出ていくと女性店長は頭をさげ見送った。 そして女性店長は奥にいる貴明とのえに近づいた。
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