本編

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「“将棋”ですよね?」 「ああ、その通りだ」 「お爺さんは“棋士”なんですか?」 「棋士なんて言葉、よく知ってるね」 「それでも知っているのはその程度ですよ。ルールなんててんで覚えてませんし……。しいて言えば、駒の名前くらいしか知りません」 私がそう言うとお爺さんは対面の席を指で突く。 私はその意図を読んで、本を将棋盤の右隣に机に置いてお爺さんの対面に座る。 「駒の動きを教えてあげよう」 そういうお爺さんの嬉しそうな顔はちょっとドキっとしました。 十分程度で駒の動き、ルールを教えていただき 「じゃあ、少し指してみるかい?」 「お手柔らかにお願いします」 「ははは、今ルールを覚えたばっかりの子供に本気は出さないさ」 そう笑うお爺さんとの初対局。
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